先日、ニュースで「給与が2か月も支払われていないのに現場を離れない病院職員」の話題を目にしました。弁護士が「それは職業倫理によって支えられている」と言っていたのが印象的でした。
私はこの言葉を聞いて、優秋会の職員の皆さんの姿を重ねました。これまで決して恵まれていたとは言えない環境の中でも、利用者様のため、仲間のために現場に残り続けてくれた職員。その根底にあるのは、まさに「職業倫理」だと感じたからです。
道徳と職業倫理の違い
道徳は「人として守るべきこと」、例えば嘘をつかない、困っている人を助けるといった普遍的なものです。
一方で職業倫理は「その職業を担う者としての誇りと責任」であり、介護職であれば利用者様の尊厳を守り、専門性を高め、仲間と協力して現場を支える姿勢です。
給与や役職の制度はキャリアパスとして大切ですが、それだけでは“本当にレベルの高い職員”を測ることはできません。私にとって「レベルの高い職員」とは、まさに職業倫理を高い水準で実践できる人なのです。
経営者としての難しさ
ただし、ここには大きな難しさもあります。職業倫理は経営者にとって「職員は簡単に辞めないだろう」という誤った安心感につながりかねません。処遇改善や人員体制の整備を怠っては、職員の誇りを逆に利用することになってしまうでしょう。
だからこそ私は「職業倫理に甘える経営」ではなく、「職業倫理を守れる環境を整える経営」を目指したいと思っています。
最後に
キャリアパスは目に見える成長の道ですが、職業倫理は目に見えない誇りと責任です。どちらも大切にしながら、優秋会が「ここで働いて良かった」と思える場所になるように取り組んでいきます。